ゼロヨンチャンプ(シリーズ)

ゼロヨンチャンプは、メディアリングが1991年に発売したPCエンジン用レースゲーム。後にスーパーファミコンプレイステーションセガサターンなど、多数のゲーム機で続編が発売されました。ここでは、それらのシリーズを総括した内容を記述します。

ゼロヨンとは、1/4マイル(約400メートル)の直線を走行するレースのこと。0〜400メートルという距離が語源となっています。プレイヤーはいくつものレースに勝ち進み、最速の男ゼロヨンチャンプになることが目的です。

上記の通り、ゼロヨンのコースは一直線のため、なんとハンドル操作は存在しません。また、走行距離もわずか400メートルですから、レースはわずか10秒程度で終わります。こんなのでゲームになるの?と思われるかもしれませんが、本作の真髄は、ギアチェンジにあります。登場する車は全てマニュアル車ですから、自分でギアチェンジを行わなければなりません。普段からオートマチック車しか運転していない人にはピンとこないかもしれませんが、マニュアル車は、車のスピードに合わせて的確にギアをチェンジしなければ、充分なスピードを出すことはできないのです。

なお、このギアチェンジ操作は十字キーで行います。車のハンドルを操作する必要がない、本作ならではの操作形態と言えるでしょう。例えば、二速から三速に切り替える場合の操作は、一旦アクセルボタンを離し、クラッチボタンを押しっぱなしにしながら、十字キーを↑・→・↑の順に入力するというものです。十字キーを実際のシフトレバーに見立てているこの操作は、中々面白いものだと感じます。つまり本作では、如何に素早く的確なタイミングでこのギアチェンジを行うかが、勝負の肝なのです。

このように、ゼロヨンチャンプはシンプルながらに中々奥が深いレースゲームなのですが、本作最大の特徴は、とてつもなく充実したミニゲームにあります。

レースを勝ち抜いていくためには、プレイヤーのテクニックももちろん重要ですが、それ以外にも、お金を払って車をチューンアップしていく必要があります。お金を稼ぐ方法は二つあり、一つはレースに勝って賞金を得るというもの。もう一つの方法が、アルバイト(ミニゲーム)です。

ミニゲームには、寺の地下に巣食う妖魔を退治するRPGをはじめ、麻雀、パチンコ、戦車対戦など、様々な内容があります。特にRPGは、これだけで一本のゲームにできそうなぐらいのボリュームがあり、最早ミニゲームという呼称は正しくないかもしれません。

開発会社のメディアリングもミニゲームを売りにしていたようで、シリーズを重ねるに連れて、ミニゲームのボリュームは増加しました。こうした過剰なまでのミニゲームの充実ぶりから、ゼロヨンチャンプファンの間では、「ミニゲームがメインでレースはオマケ」と考えている人も少なくないようです。