スピリット・オブ・スピード 1937

スピリット・オブ・スピード 1937は、2001年4月5日にアクレイムジャパンがドリームキャストで発売したレースゲーム。価格は3800円。1999年にアメリカでリリースされた、同名パソコンゲームの移植作です。

タイトルの1937の通り、1937年当時のグランプリレースを体験するレースゲームです。アルファロメオメルセデスなどのクラシックカー、イギリスのブルックランズやイタリアのモンツァといったコースなど、実在の車やサーキットが忠実に再現されています。また、油圧(下がるとブレーキの効きが悪くなる)や水温(熱くなるとエンジン性能が低下)など、通常のレースゲームではあまり設定されていないパラメータもあり、かなりシビアな操作が要求されることになります。といった具合に、当時のレースの再現という点については、中々の出来だと思います。とはいえ、あまりにも操作がシビアすぎてストレスが溜まってしまいますし、レースゲームとしても非常に地味で、総合的な評価は今一つである感じは否めませんが…。

ところで、この文章をご覧になっている方のほとんどが、スピリット・オブ・スピードというゲームの名を聞いたことが無いと思います。それもそのはず、このゲームの最大の特徴は、とんでもなくマイナーなところなのです。

日本のゲーム業界には、メディアクリエイトという、ゲームソフトの販売本数等を調査している会社があります。このメディアクリエイトのデータによると、スピリット・オブ・スピードの累計販売本数は、何とたったの87本!あまりにも…あまりにも酷い売上げです。私は最初にこの数字を知った時、何かの見間違いではないかと、何度も確認してしまいました。

ちなみに、本作と同時期にプレイステーション2で発売された、ソニーグランツーリスモ3 A-specは、130万本以上もの累計販売本数を記録しています。スピリット・オブ・スピードとは、まるで比べ物になりません。普通、どんなマイナーかつ人気の無いゲームソフトでも、1000本程度は売れるものですが…。おそらく、スピリット・オブ・スピードは、ファミコン発売以後のコンシューマーゲームソフトとしては、史上最低の販売本数ではないかと思います。

ここまで売れていないと、当然市場に出回っている数は相当少ないでしょう。これはさぞやプレミアがついているはず…と思いきや、実は中古ゲームショップでは1000円程度で販売されています。マイナーなゲームソフトの中には、一部に熱狂的なファンがいて、数万円ものプレミアがついている作品も少なくありません。しかし、スピリット・オブ・スピードはとんでもなくマイナーすぎて、ごく一部のファンすら存在しないということなのかもしれません。何と言うか、とことんダメなソフトです…。