グランツーリスモ

グランツーリスモは、プレイステーションドライブゲーム

ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下SCE)が、1997年12月24日に5800円で発売しました。開発はSCEの子会社であるポリフォニー・デジタルが担当。グランツーリスモとは、長距離を高速で走ることができる高性能車を意味する言葉です。主に"GT"と略されます。

ゲーム内容は、単独のレースを手軽に楽しめる"クイックアーケード"と、レーシングドライバーを仮想体験する"グランツーリスモモード"の二種のモードがあります。グランツーリスモモードは、レースに出場して賞金を得て、そのお金で車を買い替えたり、チューンアップしていくことで、更なる速さを追求していくというもの。

本ゲーム最大の特徴は、実在する車をリアルに再現している点です。トヨタ、日産、ホンダ、ゼネラルモーターズなどの様々な有名自動車メーカーとライセンスを結んでおり、これらのメーカーの実在する100種類以上の車種を操作してレースが行えるのです。ただし、ポルシェやデ・トマソといったメーカーからはライセンスを得られなかったため、これらのメーカーの車種は登場していません。(本作だけでなく、以後のグランツーリスモシリーズ全てに未登場です)

グラフィックの美しさも、本作の特徴の一つです。車体のモデリングは実在の車種を忠実に再現しているのはもちろんのこと、それに加えて、環境マッピング※を用いて、車体に周りの景色が映りこむ様子までも表現しているのは、当時のレースゲームではほとんど見られなかった技術です。こういった表現が可能になったのは、プレイステーションというハードの性能によるところが非常に大きいでしょう。
※3Dグラフィックスにおいて、物体の表面に擬似的な映り込みを再現する手法。

そして、独自開発された物理エンジン※を用いることで、見た目だけでなく、加速度やステアリングといった挙動部分までも、実物を忠実に再現しているのです。
※ここで言うエンジンとは、自動車の動力部のことではなく、質量・速度・摩擦などの力学的現象をシミュレートするゲーム開発用ソフトウェアのこと。

更には、エンジン音までも実在の車を再現している程のこだわりっぷりです。このようなことから、本ゲームのジャンルはレースゲームと言うよりも、リアルドライビングシミュレーターと言った方が正しいでしょう。ただ、そのあまりのリアル志向故に、ゲームとしての難度はかなり高くなっています。初心者が気軽に楽しむことができないというのは、グランツーリスモ最大の弱点かもしれません。

ただし、当然ながら全てが完全にリアルというわけではないです。本作に収録されているコースは全て架空のものですし、(グランツーリスモ2以降は、実在のコースも登場するようになりました)車が接触した場合も、大破して走行不能になったりはしません。まあ、そのあたりは、ゲームとして正しい表現であるとも言えるでしょうが。

以上のように、(一部を除き)徹底的にリアルにこだわった点が評価され、グランツーリスモは多くのファンを獲得。その結果、日本での累計販売本数は255万本、世界全体では1000万本以上の大ヒットを記録しています。グランツーリスモは、SCEを、そしてプレイステーションを代表するゲームとなったのです。