リッジレーサー

リッジレーサーは、1994年12月3日にナムコ(現バンダイナムコ)から6090円で発売されたプレイステーション用レースゲーム。

タイトルのリッジレーサーとは"峠の走り屋"という意味です。リッジレーサーは、前年には既にアーケードゲームとして稼動していましたが、ここでは、その移植であるプレイステーション版について記述します。

本作は、プレイステーションのローンチタイトル(本体と同日発売されたソフトを指します)でもあります。リッジレーサーは、本作以降もいくつもの続編が発売されましたが、そのほとんどが、各種ゲーム機のローンチタイトルとして発売されています。リッジレーサーは、新型ゲーム機の性能を表す、いわば試金石のような存在と言えるかもしれません。

特に、プレイステーションハードでその傾向が顕著で、プレイステーション2リッジレーサーV、PSPリッジレーサーズプレイステーション3リッジレーサー7、Vitaのリッジレーサー(タイトルに捻りがない)と、プレイステーションハードのローンチタイトルには必ず名を連ねているのです。

この注力ぶりからも一目瞭然ですが、ナムコソニー・コンピュータ・エンタテインメントのハードへ肩入れしているメーカーです。というよりも、嫌任天堂と言った方が正しいでしょうか。ナムコはかつて、パックマンゼビウスなどでファミコン市場を盛り上げていた存在です。その大きな貢献から、任天堂ナムコに対し、ソフト発売タイトル数の制限(ファミコンはソフトの粗製濫造を避けるため、メーカーの年間ソフト発売タイトル数が制限されていました)を緩くしたり、ロイヤリティ(ソフトメーカーは、ソフト販売本数に応じて、ハードメーカーへ一定の料金を支払わなければなりません)が安価であったりと、相当な優遇措置がされていたのです。ところが、ファミコンが爆発的な普及を見せると、契約更新において、任天堂はこのナムコへの特別待遇撤廃を告げたのです。これは、最初から期間限定の特別待遇だったのですが、ナムコにしてみれば、任天堂に裏切られたとしか思えない行為です。この確執があってから、ナムコ任天堂を敵視=他ハード(プレイステーション)に注力するようになったのです。

本作では、実在の車やコースは収録されておらず、全てオリジナルのものとなっています。ドリフトを駆使した高速のコーナリングや、コースを反対に進む逆走モード、超スピードで疾走するデビルカーの存在など、リアルとは程遠い内容ではありますが、その分、ゲームならではの爽快感を重視した作りになっているのです。ゲーム中に視点切り替えが可能で、車内から実際に運転しているかのような視点のドライバーズ・ビューと、後方からの第三者視点であるマイカービューの二つから選択できます。

また、本作ではおまけとして、ゲーム起動時のロード時間中に、ナムコの往年の名作ギャラクシアン(簡易版)が遊べるようになっています。プレイステーションはソフトがディスクメディアのため、どうしてもデータを読み込むためのロード時間が必要になるのですが、その間にちょっとした時間つぶしができるのは嬉しいものです。ロード時間というマイナスの要素を、上手くプラス方向へ持っていくこのアイデアは素晴らしいと思います。これが好評だったのか、以後のリッジレーサーシリーズでも、ロード中にミニゲームが遊べるものは多いです。

上記の通り、リッジレーサーシリーズは、たいていローンチタイトルとして発売されています。ですが、それはハード発売時期に合わせてソフト開発を進めなければいけないということでもあり、それ故に、作りこみが甘いと評価されてしまう場合も少なくないです。とはいえ、ハード発売日から遊べるということは魅力的でもあり、根強いファンがいることも事実なのです。