クレイジータクシー

クレイジータクシーは、1999年にセガが発売したドライブゲーム。最初はアーケード(ゲームセンター)で展開され、後にドリームキャストプレイステーション2など、多数の家庭用ゲーム機へも移植されました。

ゲーム内容は、アメリカの架空の町を舞台に、プレイヤーがタクシー運転手となり、コース上の様々な場所にいる客を乗せて目的地まで運び続けるというものです。明確なゲームクリアというものはなく、制限時間内にどれだけ客を送り届けたか(お金を稼いだか)を競う、スコアアタックを重視したものになっています。この説明だけでは、何と言うことはないドライブゲームのように思えるかもしれませんが、実際はタイトル通り"クレイジー"な展開が繰り広げられるのです。

本作では、現実では犯罪となってしまうような走行をしても、一切咎められることはありません。反対車線の走行、邪魔な車は体当たりしてぶっとばす、人が大勢いる歩道を突っ切る(必ず逃げるのでひき逃げはできませんが)、地下鉄内を通り抜ける、水中を走る(オープンカーですけど)など、とにかく破天荒なドライブが可能です。こんなメチャクチャなプレイをせずに、普通に安全運転することもできなくはないですが、制限時間がかなり厳しいため、真面目に走っているとすぐゲームオーバーになってしまいます。ですから、必然的に常軌を逸した走行を強いられることになってしまうのが、このゲームがクレイジーたる所以です。

客のリアクションも非常にユニークです。高低差を利用して大ジャンプしたり、他の車にぶつかりそうなスレスレの走行をすると、何故か興奮してチップをくれます。そして、目的地に早く到着するとハイタッチして喜びますが、遅いと車を蹴って怒ります。あまりにも遅すぎて時間内に目的地まで到着できないと、客は走行中の車から勝手に飛び降りてしまうのです。また、ビルの屋上でタクシーを待っているおバカな客も存在します。といった具合に、プレイヤーだけでなく、客までクレイジーであることが、このゲームの魅力と言えるでしょう。

上記の通り、このゲームは制限時間が厳しいため、初心者はすぐゲームオーバーになってしまいます。つまり、何度も繰り返しプレイすることでコースを把握する、いわゆる覚えゲーとしての側面が強いと言えるでしょう。しかし、客を乗せる&目的地に届ける毎に残りタイムが増えるという仕組みなので、上級者は延々とプレイし続けることも可能です。つまり、初心者は難しくてすぐやめてしまいますし、上級者はずっとプレイし続けられますので、アーケードでのインカム(incomingの略、ゲーム機に投入された金額を表す言葉)はあまり良くなかったと言われています。とはいえ、そのクレイジーな内容から、一部に熱狂的なファンがいることも事実です。