F-ZERO

F-ZEROは、任天堂が1990年11月21日に6800円で発売したスーパーファミコン用レースゲーム。スーパーファミコンのローンチタイトル(本体と同日発売のソフトの意味)でもあります。タイトルのF-ZEROとは、F1(フォーミュラー・ワン)に因んで付けられた名称です。

登場する車は現実のものではなく、コース低空をホバーして走るという、かなり未来的(空想的)なものです。本作の特徴は、従来のレースゲームとは一線を画したハイスピード感です。スーパーファミコンには、ファミコンにはなかった画面の拡大・縮小・回転の機能が備わっており、これらの機能によって、そのスピード感がより強調されるのです。また、コースには、ダッシュゾーン・ジャンプ台・地雷などが設置されており、そのハイスピード感と相まって、よりスリリングなレースが体験できるのです。

前述の通り、F-ZEROスーパーファミコンのローンチタイトルです。スーパーファミコンのローンチタイトルは2本あり、もう1本はスーパーマリオワールドでした。マリオといえば、その名を聞いたことがない人はまずいないであろう、超有名ゲームソフトです。ファミコンで発売された初代スーパーマリオブラザーズは、日本国内では681万本、世界累計では4024万本を売上げており、世界で最も売れたゲームソフトとしてギネス登録されているのです。

マリオシリーズはこれだけ人気の高い作品ですから、スーパーマリオワールドも、発売前から大きな期待を集めていました。その期待通りに、スーパーマリオワールドは初期のスーパーファミコン市場を大きく牽引したのです。(最終的に、スーパーマリオワールドは国内累計で355万本を売上げる大ヒットとなりました)

つまり、初期にスーパーファミコンを購入したユーザーのほとんどはスーパーマリオワールドが目当てであり、それ故に、F-ZEROの注目度はあまり高くはありませんでした。F-ZEROは、スーパーマリオワールドに負けないぐらいの完成度を誇っており、ゲームファンの間では非常に人気が高いソフトです。しかし、残念ながら一般的な人気はあまり得られませんでした(一応、続編は何作も発売されるぐらいの人気はありましたし、随分後にアニメ化もされたのですが)。F-ZEROは、スーパーマリオワールドの影に隠れて、人気や売上げも今一つに終わってしまった不遇なソフトなのです。